定額減税と住宅ローン控除は併用できる
定額減税は、1人あたり所得税で3万円、住民税で1万円の減税を受けられるものです。納める税金が少なく定額減税で引き切れない場合は、減税しきれない差額が「調整給付」という形で自治体から給付されます。住宅ローン控除を使う場合のポイントは次の4点です。
① 定額減税と住宅ローン控除は併用できる
② 住宅ローン控除後の税額に対し、定額減税が適用される
③ 定額減税の不足分は調整給付される
④ 住宅ローン控除と定額減税の併用により、納税者が不利になるようなことはない。
「住宅ローン控除」を受けている場合も、「二重取り」が起こる可能性がある
「住宅ローン控除」は、年末のローン残高の一定割合を税金から差し引くものです。そして「定額減税」は「住宅ローン控除」を行った後の税金に対して行われます。
2023年末のローン残高を踏まえたローン控除後の税額をもとに「調整給付」金が支給されたあと、2024年末の残高が減るなどして税額が変わり「定額減税」を全額分受けられるようになった場合、「二重取り」が生まれるケースが考えられます。
「二重取り」ケースは、所得税と住民税という基準やしくみの異なるふたつの税をめぐって減税を行い、減税しきれない人にも全額減税できる人と同様の効果を早期に行き渡らせようとしたために、事務が非常に複雑になりました。
二重取りした分は返さないといけないのか?
政府は制度設計の段階でこうしたケースを想定していたので、「一人4万円」を超過した分の返還が求めていません。同様な二重取りは例えば世帯主の夫の扶養に入りパートタイムで働く妻の場合があります。年収が100万円(合計所得45万円)超、103万円(同48万円)以下で、所得税がかからないが住民税を支払う場合です。
鈴木俊一財務大臣は7月12日の閣議後の記者会見で、こうしたケースを防ごうとすると膨大なコストが発生すると説明し、「公平性の配慮が重要であると同時に、企業や自治体の負担に配慮することも重要だ」と述べましたが、公平性を欠くと指摘されるような事例が生まれることになりました。