政府が「フラット35」の融資限度額を 8,000万円 → 1億2,000万円へ引き上げる方針
日銀の利上げが続く中、2025年12月19日に長期金利が2.02%という水準に到達しました。
これまで「低金利の象徴」だった変動金利にも、いよいよ本格的な転換点が来ています。
そんな中、政府が「フラット35」の融資限度額を8,000万円 → 1億2,000万円へ引き上げる方針を示しました。
これは単なる制度改正ではなく、住宅ローン市場全体が「固定金利を再評価する局面に入った」という強いメッセージだと感じています。
変動金利は「安い」から「不安定」へ
住宅ローンの変動金利は、日銀の政策金利に連動します。今回、政策金利は0.75%まで引き上げられ、今後も追加利上げが示唆されています。
つまり、
- 今はまだ低く見える
- でも数年後はどうなるかわからない
- 返済額が読みにくい
という状況に入ってきました。
これまで「変動一択」「固定は高い」と言われてきた時代とは、空気が変わっています。
固定金利は“保険”として選ばれる時代へ
現在のフラット35(21~35年)の金利は年1.97%前後。
正直に言えば、目先の金利だけ見れば変動より高いです。でも固定金利の本当の価値はここ
- 金利が上がっても返済額は変わらない
- 教育費・老後資金の計画が立てやすい
- 家計のストレスが減る
物価上昇と利上げが続く局面では、固定金利は「割高」ではなく安心を買う金融商品として評価され始めています。
フラット35限度額引き上げが示す“次の流れ”
東京23区の新築マンション平均価格は、1億1,181万円。これまでのフラット35(上限8,000万円)では、
- 頭金3,000万円超が必要
- 現役世代にはハードルが高い
という問題がありました。限度額が1億2,000万円になることで、
- 固定金利でも購入しやすい
- 借り換え時の選択肢が広がる
- 高額物件でも「固定」という判断が可能になります。
実際、フラット35の申請件数は前年同期比で51%増と、急激に伸びています。
今後予想される「借り換えの動き」
長期金利2.02%という水準を前提にすると、今後はこんな動きが増えてくると予想されます。
① 変動 → 固定への借り換え
- 返済期間が20年以上残っている
- 子どもの教育費と重なる
- 共働きだが将来の収入に不安がある
こうした家庭ほど、「今のうちに固定へ」という判断が増えそうです。
金利は「安さ」より「読めるかどうか」
住宅ローンは、一番金利が低い商品を選ぶゲームではありません。
これからの時代は、
- 金利がどこまで上がるか
- 家計がそれに耐えられるか
- 生活の安心を守れるか
が問われます。
長期金利2.02%、そしてフラット35の制度拡充は、 「固定金利を選ぶことが、合理的な判断になる時代の入口」を示しているように感じます。

