住宅購入者の平均年齢約44歳では最終75歳まで返済が続く

国土交通省が住宅購入やリフォームをした世帯を対象に実施した調査では、新築分譲マンション購入世帯の住宅ローン返済期間は 平均で約31年。購入者の世帯主の平均年齢は約44歳で、単純に計算すると75歳まで返済が続くことになる。

60歳の定年退職の退職金で残債の一括繰上げ返済を考えて返済期間を設定することもあるが、現実に繰上げ返済を行おうとすると老後資金が枯渇してしまう事態にもなりかねない。時流からすると60歳定年、65歳まで継続雇用が70歳までに延長することも考えられるが、健康上の理由で仕事が続けられない状況も想定しておかなければならない。

総務省の家計調査で計算したところ、負債超過額、20年で4割増加

総務省の家計調査で、住宅ローン返済世帯が抱える負債が貯蓄を上回る「負債超過」の額が、過去20年ほどで4割増えたことがわかった。日銀の短期金利低金利政策と住宅価格上昇によって住宅ローン借入額が膨らんでおり、家計が長期的に抱えるリスクが増している。住宅ローンが定年後も返済が続くとなると老後の生活を圧迫する恐れがある。

日銀の金融緩和政策によって住宅ローンの金利は歴史的に最低水準にあり、借入の額が増加してきた。中でも変動金利はネット系銀行の金利競争もあり年0.3%を切る金融機関も珍しいことではなくなった。住宅支援機構の調査では住宅ローンを借りた人の約7割が変動金利を選択している。

一方、住宅ローン減税では消費税10%が適用される住宅で一定条件を満たせば13年間、年末借入残高の最大0.7%の税額控除が定期用され、返済金額より減税額の方が大きい「逆ザヤ」状態になりやすいことも借入額増加につながっている。

最長80歳まで返済するライフプランも考える

最近では、ネット系の金融機関も50年間返済可能という商品も登場してきている。平均年齢の44歳で50年ローンが組むとすれば94歳まで返済となるが、実際は80歳で頭打ちとなる。若い世代であれば、長期の住宅ローンでも三大疾病団信や就業不能付き団信でカバーできることもあるが、50歳以上では団信も死亡のみというところがスタンダードだ。

住宅価格が上昇して「夢のマイホーム」を購入しようとすると低金利変動型、返済期間長期型の住宅ローンを選択せざるを得ないのが現状である。それならば80歳返済も想定したライフプランを検討する必要も出てくる。ただ、ファイナンシャルプランナーの中には定年までに住宅ローン完済するという考え方が主流であり、ライフプランシュミレーションソフトも80歳まで住宅ローン完済のプログラムは組まれていない。ますます、FPの考え方やアドバイスの方法が変化してかなければならないだろう。

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