ペアローンのメリットと注意点とは

ペアローンの最新情報

2024年10月より、長期固定金利型の住宅ローン「フラット35」でペアローンの取り扱いが開始されました。これにより、夫婦や親子などがそれぞれの収入に応じて個別にローンを組むことが可能となり、単独での借り入れよりも高額な融資を受けられる可能性があります。また、ペアローン利用者向けに、どちらか一方に万が一のことがあった場合でも、残されたローン全額が返済される「ペア連生団体信用生命保険(デュエット)」も提供されています。

ペアローンを利用することで、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けることができます。これにより、単独でローンを組む場合よりも控除額が増える可能性があります。ただし、控除を最大限に活用するためには、各自の収入や借入額、税額などを考慮した上での計画が必要です。

近年の物件価格高騰や共働き世帯の増加に伴い、ペアローンの需要が高まっています。これを受け、auじぶん銀行では、2025年1月に「50年住宅ローン」や「ペアローン連生団信」の提供を開始しました。これらの商品は、長期の借入期間や共働き世帯のニーズに対応したものとなっています。ペアローンはメリットが多い反面、契約が2本になるため、事務手数料や登記費用などの諸費用が増加します。また、夫婦それぞれが審査を受ける必要があり、健康状態や収入状況によっては審査が通らない場合もあります。さらに、将来的に離婚や収入減少などのリスクも考慮し、慎重な判断が求められます。

ペアローンの団体信用生命保険税務上の注意点

ペアローンにおける連生団信(夫婦連生団体信用生命保険)で、例えば夫が亡くなり、妻のローン残高が免除された場合、その免除額が 一時所得として課税対象となる可能性があるとの情報もあります。

具体的なケース:

  • 夫の死亡:夫のローン残高は団信により完済され、課税は発生しません。
  • 妻のローン免除:妻のローン残高も免除された場合、その免除額が妻の一時所得とみなされ、所得税および住民税の課税対象となる可能性があります。

一時所得の計算方法:

  1. 総収入金額:免除されたローン残高(例:2,000万円)
  2. 必要経費:通常、団信の保険料は住宅ローン金利に含まれており、個別に経費として控除できません。
  3. 特別控除額:50万円

したがって、一時所得は以下のように計算されます:

一時所得 = 総収入金額 - 必要経費 - 特別控除額

           = 2,000万円 - 0円 - 50万円

           = 1,950万円

この一時所得の1/2が課税対象となります:

課税対象額 = 一時所得 × 1/2

             = 1,950万円 × 1/2

             = 975万円

この975万円が他の所得と合算され、所得税および住民税が計算されます。

注意点:

  • 納税資金の準備:実際の現金収入がないにもかかわらず、多額の税負担が発生する可能性があるため、事前の資金準備が重要です。
  • 税務署への確認:具体的な税額や適用される控除については、最寄りの税務署や税理士に相談することをおすすめします。

このように、ペアローンの連生団信には手厚い保障がある一方で、税務上の注意点も存在します。

本当に課税対象になるのか検証

夫婦連生団信は本当に一時所得になるのか?

結論

夫婦連生団信でローンが免除された場合、一時所得として課税されることは基本的にありません。


理由団信によるローン免除は借金の消滅であり、一時所得に該当しない

「一時所得」とは、保険の満期金や懸賞金など、労働や資産運用以外で一時的に得た利益を指します。しかし、団信は以下の理由で「所得」として扱われません。

  1. 団信はローン返済免除に充てられる保険
    団信保険金は直接金融機関へ支払われ、返済に使われるため、個人が保険金を直接受け取って自由に使えるものではありません。
  2. 課税所得にならない根拠
    税法上、借金が免除されることは「利益を得た」わけではなく、ローン契約終了とみなされます。このため、「所得」や「一時所得」ではなく「非課税」となります。

過去の判例・通達

  • 国税庁の見解でも、「団信による返済免除は所得には該当しない」所得税法基本通達9-22とされています。
  • これは、個人が実際に自由に使える現金を受け取るわけではないからです。

例外的なケース

以下の場合は、課税の対象となる可能性があります。

  1. 保険金を受け取って現金で受領し、そのお金を別用途に使った場合
  2. 通常の生命保険金として受け取り、ローンに充当しなかった場合

夫婦連生団信による返済免除は原則非課税であり、一時所得とは見なされません。しかし、特殊なケース(別途現金受領など)がある場合は課税対象になることがあります。特定の条件に該当するかが不安な場合は、税理士などの専門家や最寄りの税務署に相談すると安心です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA