変動型ついに0.1%台の住宅ローンが登場、団信分を差し引けば実質マイナス

変動型金利の住宅ローン金利は、各行が設定した基準金利から個人の信用力に応じた優遇幅を引いて決まる。現在は利用者の8割程度が変動金利を選択している。

auじぶん銀行の基準金利は2.341%で6月末までに借り換えた場合は、すべての条件を満たせば2.145%優遇され最も低い場合は0.196%となる。団信保険は一般的には住宅ローンを提供する銀行が保険料を支払う。最近は三大疾病などの入院で残債の負担が軽くなる団信も増えてきたが住宅ローン利用者が任意で上乗せ保険料を負担することが多い。

auじぶん銀行では医師にがんと診断された場合、住宅ローンの残債が半減する「がん50%保障団信」に契約者が保険料を負担しなくても入れる。本来なら生じる0.25%分の保険料を差し引けば、実質的に住宅ローンの金利がマイナスとなる試算となる。金融機関としては「残高が増えれば融資手数料が増え単体で収益を確保できるだけでなく、グループでも顧客を増やせる」との戦略をとっている。

auじぶん銀行を刺激したのは3月末に上場した住信SBIネット銀行である。手続きがネットで完結する低コストを武器に利用者を増やし、市場シェアを拡大を狙う。人口知能(AI)などを駆使し、審査にかかるコストを抑えている。

劣勢の大手銀行は契約手続き電子化などで経費削減し、金利引き下げ競争に追従する。みずほ銀行はネットで介した最優遇金利を0.375%で提供する。地方銀行の幹部は「メガバンクも手を引かないので競争環境は厳しくなる一方だ」とこぼす。日銀は2022年12月末に長期金利の上限目標を0.25%程度から0.5%程度まで引き上げた。一方、変動金利の基準となる短期金利は当面変わらないとの見方が強く、固定型より割安感がある。金融機関が変動型の需要をさらに取り込むには優遇幅の拡大で他行に差をつけざるを得ないのである。

引用:日本経済新聞(2023年4月18日)

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