長期金利は日銀イールドカーブ修正で上昇圧力

住宅ローン金利には「全期間固定金利型」「固定期間選択型」「変動金利型」の3つがある。

固定金利金利型と変動金利型では連動する金利が異なっている。固定金利型は長期金利に連動する。前月の中旬から下旬の長期金利をもとに決められる。日銀が7月28日の金融政策決定会合で長期金利の上限0.5%を目途とし、1.0%を事実上の上限とするイールドカーブコントロールの修正に踏み切ったことで、長期金利が一時0.605%まで上昇して9年ぶりの高水準となった。大手銀行はこの動きを受け10年固定金利を引き上げてきた。短期金利に連動する変動型の金利は各行とも2.475%で据え置いた。契約者の約7割が選ぶという変動型は短期金利に連動するため、7月の日銀の政策の影響は受けない。

今後は日銀がいつ短期金利の政策金利の修正に動くかである。現在のマイナス金利政策を解除し、ゼロ金利を経てプラス金利に引き上げてくれば、変動型の金利上昇の可能性も見えてくる。再度、変動金利型から全期間固定金利型に変更しようと考える時期が来るかもしれない。

インフレで物価高にローン返済負担増

総務省によれば消費者物価指数(CPI 生鮮食品を除く総合指数)が前年同月比3.3%上昇した。アメリカのインフレは金利政策により現在は落ち着いてきており、日本の方が消費者物価指数が高くなっている。

食品などの値上がりを実感する人は多いが、住宅ローンを抱える人は別の不安もある。変動金利の上昇だ。一部の固定金利は引き上げになったが、返済中に金利が変わる変動型には影響は及んでいない。しかし、インフレが3%を上回るなか、短期金利の政策金利の変更があれば物価高に住宅ローン返済負担増が加わることになる。

だが慌てて「繰り上げ返済」などの行動を起こすのはまだ待った方が良い。インフレの本質を見極めることが重要であり、「賃金上昇を伴うインフレ」が安定的に継続した場合が日銀が政策金利を変更するタイミングだ。賃金の上昇も伴えば金利上昇分を吸収できる可能性も考えられる。また、インフレ時はモノの値段が上がりお金の価値が下がるということである。その時は住宅ローンの負担も相対的に下がってくるとの見方もある。

ただ、インフレでお金の価値が下がるということは、年2%の物価上昇で10年で2割も価値が下がるということ。インフレ時は住宅ローンよりも現預金をどうするかを考える方が優先順位が高そうだ。具体的には「インフレに強い資産」であるドル資産が最近注目を浴びてきている。資産バランスを見直すこともしないで「預貯金」ばかりに偏るとますます資産が目減りしていると認識することが大切である。

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