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日銀利上げと住宅ローン

物価高が実感するなか、日銀は短期金利政策を変更してマイナス金利政策から引き上げを始める可能性が高まってきた。特に住宅ローン金利への影響が心配されている。7割以上の人が変動金利型を選択しており、その金利も上がるかもしれないからである。

日銀が政策を変更して「金利がある世界に入る」と予想されているが、今の日本経済の実力からすれば短期金利の早期の大幅上昇は現時点では有力なシナリオとは言い難い。条件もあるが、固定金利型でなく変動金利型の方が返済総額が少ないことはあり得る。ただ、南海トラフ震災や再び新型ウイルスの感染症流行、台湾有事などリスクも顕在化しており、金利にも何が起きるかわからない状況になりつつある。このままインフレが続くようであれば大幅な金利上昇はないとしても、金利が上がっていく要素は十分考えられる。変動金利型の利用者は金利上昇のリスクは過大視すべきでないが軽視もしていけない。

2025年4月が日銀の短期金利政策を変更していくとの見方が大半であるが、専門家の意見をどのようなものなのか?それぞれの意見を聞いて今後どのように対策をするかを考えたい。

A 変動型の利用が得策であるとの意見

日銀の利上げは4月がメインシナリオだが、1月や3月の可能性もある。来年は米国が利下げを開始しそうで円高が進む恐れがあり、その前に政策変更を考えてるようだ。だが、利上げを重ねることには固執していないのではないか。一般的にはマイナス金利解除までは短期プライムレートは上がらず、変動金利型の住宅ローンの基準金利は上がらないとしても、ゼロ金利解除では短期プライムレートが上昇し変動金利型の住宅ローン金利も上がるとみている。景気のことを考えたら日銀は無理をできずゼロ金利解除はない可能性もある。逆に金融緩和を再び行う展開もありうる。そうなるとゼロ金利解除はせずに、国債買い入れを増やし量的緩和の手法をとることも考えられる。そうなると変動金利型の住宅ローンを利用しておけばいい。(証券会社 チーフマーケットエコノミスト)

変動金利型が上がるのはかなり先で上昇幅も限定的と考えらるので、今後も変動金利型で借り続けるのが得策で、固定金利型に借り換えするには賢明でない。マイナス金利解除からゼロ金利解除までいったとしても、日銀の利上げはせいぜい1.0%までで0.5%で止まるかもしれない。日本の経済力がこれから強くなることはなく、大幅な利上げは現実的ではない。今の全期間固定金利35年ローンの適応金利は1.8%程度、一方変動型金利は0.4%くらいで金利差が1.4%。日銀の利上げが1.0%から0.5%程度なら変動金利は現時点の固定金利を上回らない。(住宅ローン専門ネット会社 COO)

B 固定型への借り換えが選択肢とする意見

変動金利型は本来、金利上昇時に繰り上げ返済できるなど、家計に余裕がある人に向く。最近は共働きを前提に借入限度額の上限まで借りて、高額のマンションを購入する事例がみられる。夫婦の一方が働けなくなる、子どもの教育費が想定を上回るなどへの事態が起これば余力が乏しくなる。変動金利型は、金利が上昇すれば返済額が増える。一般的には半年ごとに見直すが5年ルール、125%ルールがあれば急には返済額は変わらない。だが、その2つのルールがない金融機関もあり注意が必要だ。

変動金利型が魅力的なのは低金利との理由は理解できる。住宅支援機構のフラット35(全期間固定金利型)は現在1.8%台である。年0.4%とは1.4%の開きがある。ただ、フラット35の金利は十数年前は年3%台だった。現在の水準は歴史的にみれば高くないと言えるので、変動型金利の上昇に備えて固定金利型の借り換えを検討してもよいのではないか。固定金利型のメリットは金利動向により支出額が変わることがなく計画的に返済できることにある。歴史を振り返ると金利が高い時代は変動金利型よりも固定金利型や固定期間選択型が優勢であった。日銀の金利政策が変われば変動金利型優勢の状況が変わってもおかしくない。(一般社団法人 代表ファイナンシャルプランナー)

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