住宅ローンの減税の対象とは

新築でも、宅地建物取引業者により一定の増改築などが行われた「買取再販住宅」でも、長期優良住宅・低炭素住宅を認定住宅として住宅ローン控除限度額が優遇されていたが、令和4年の税制改正で「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」といった区分が新たに設けられた。

これにより、令和6年以降に新築の建築認定を受けた、省エネ基準を満たさない「その他の住宅」は住宅ローン減税の対象外となった。ただし、令和5年年末までに新築の建築認定を受けた住宅に令和6~7年に入居する場合は、借入限度額2,000万円・控除期間10年となる。

既存の住宅(中古住宅)も令和7年までの入居であれば、「認定住宅」の場合3,000万円、その他の住宅でも2,000万円の住宅ローン控除が10年間受けられる。耐震やバリアフリー、省エネなどのリフォームの場合は、令和5年12月31日までに入居したときは所得税が控除される。これは、ローンの有無を問わず適用されるが、住宅ローン控除とは併用できず、1年間だけの適用となる。

気をつけたい、住宅ローンの減税のしすぎ

最近は住宅ローンの減税の適用が複雑なのと、特例を併用してしまうミスが多く、会計監査院の調べによると、過大に控除していた納税者が増加傾向にあるという。

具体的には、「親や祖父母から住宅資金を一括贈与された人が最大1千万円まで非課税にできる贈与税の特例」と「自宅を売却した際の譲渡所得の最高3千万円を控除できる譲渡所得の特例」を併用していまう例だ。この2つの特例を併用できると勘違いしてしまいうっかり申告して負担を軽減したまま見過ごしてきた納税者は少なくない。特に住居を売却して特例を適用し、売却資金で新たな別の住宅を購入する人はローン控除を併用できない点を押さえておきたい。

住宅ローン控除に関しては、税務当局でもミスを見過ごしやすいと言われている。会計監査院の報告では、13年度から6年間で3,140人が合計5億5,843万円の税額を過大に控除していたことが分かっている。また納税者の転居などで所轄税務署が変わった際にも見落としが発生している。当局もミスが発生しないように対策を講じていることが予想されるが、今後ともミスが見落とされないとは言えない。

住宅ローン控除については、令和6年度税制改正大綱で期限を延長し、限度額の引き下げ、住宅資金贈与の非課税特例を延長することが盛り込まれた。令和6年1月から開始される贈与税の改正などと絡みローン控除のルールはますます複雑化するばかりだ。しかし、ローン控除の還付を受けてから長い年月が経った後に過大控除が発覚すれば、多額の延滞税を支払うことになる。内容を再確認して確定申告でミスがないように注意したい。

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